Blackberry〜黒い果実〜
酒に……、呑まれていたのかもしれない。


伸ばした腕は、彼女の持っているコップを通りすぎ、その華奢な手首を掴む。
彼女に驚く間も与えずに掴んだ手首を引き寄せた。


庇護欲をそそる幸の薄そうな顔が、一瞬遅れて驚きを浮かべた。


庇護欲?
苦笑が漏れる。


今、現実に護られてるのは俺の方なのに……。


驚きの手から落ちたコップが、ゆっくりと床に水を零した。

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