Blackberry〜黒い果実〜
高瀬先輩にも、双葉にも気付かれてなければ良いんだけれど……。


一晩限りの夢。


それでいいんだ。
それだけで充分。


「お姉ちゃん、起きてる? ご飯だよ」


ドアの向こうから聞こえてくる双葉の声に、罪悪感が身体を震わせる。


声に続くドアをノックする音。


「お姉ちゃん?」


「ん、いま行く」


小さくそう答えると、来るときには気付かなかったパタパタとしたスリッパの足音が階段を下りていった。

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