Blackberry〜黒い果実〜
足音が聞こえなくなってから、ゆっくりと部屋を出た。


廊下や階段の空気は暖められた部屋とは違い肌寒く、スリッパを通して床の冷たさが伝わってくる。


双葉と顔を合わせるのは気まずいけれど、早く暖かいリビングに逃げ込みたかった。
階段を小走りで駆け降り、リビングのドアを引く。


何かにぶつかったかのように、その場で足を止めた。


きっと、部屋の空気が固かったからだ。


そう気付いたのは、テーブル越しにお父さんと目が合ったから。

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