Blackberry〜黒い果実〜
「おは――」
  「ずいぶん、ゆっくりなんだな」


出て来た朝の挨拶は、低く固い声に押し戻される。


「……スイマセン」


そう、言い零すとお父さんは一度目を閉じ、視線を私から外した。


「座りなさい」


双葉の座っている横の椅子を引き、そこに腰を下ろす。


「夜遊びが、過ぎるんじゃないか?」


その言葉にお父さんに顔を向ける。
でも、その視線は私を見ていない。


「昨日、繁華街の方でお前を見かけたんだが」

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