Blackberry〜黒い果実〜
仕事帰りにチラチラと舞い始めた綿雪を見上げて、マンションの自室に明かりが灯っていることに気付いた。


朝のゴタゴタですっかり忘れてた。
高瀬先輩のこと。


参ったなぁ。


これから出勤の予定なのに。
今の“双葉の姉”としてはあの部屋で顔を合わせるわけにはいかないんだ。


会いに来てくれて嬉しい反面、一晩限りと忘れてほしかったという気持ち。


そして、今すぐに会えないもどかしさ。


俯くと、雪がアスファルトを覆い隠そうとしていた。

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