Blackberry〜黒い果実〜
雪が色を奪い去り、景色を消し去っていく。


窓から見える景色が白一色に変わる頃、マンションから出て来る人影。


少しの間、雪の降りしきる中で佇む人影。


早く……、帰っちゃえばいいのに。
行きずりの相手だと、忘れてくれていいのに。


心を温めるように、少しぬるくなったココアを一気に飲み干した。


近付いて来る人影に窓から顔を離す。
でも、視線だけは外せなかった。


やっぱり、人影は高瀬先輩だった。

< 50 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop