Blackberry〜黒い果実〜
遠ざかっていく人影。


小さく、小さくなって、見えなくなるまで見送った。


窓の外から視線を下ろし俯くと、テーブルの上には頼んだまま手を付けていなかったフルーツのタルトが私を待っていた。


一口、さっくりとしたタルトを頬張る。


乗っかっていた黒い果実が口の中で弾ける。


それまでの甘味をすべて打ち消すような強烈な酸味。
コクンと飲み下す。


申し訳なさが、酸味と共に残った。

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