Blackberry〜黒い果実〜
降ってきそうだな。


マンションの前まで来て、彼女の部屋を見上げながら視界に入る厚い雲に雪の気配を感じる。


部屋の前でインターホンを鳴らす。


居ないのか。


ポケットの鍵をギュッと握り取り出す。
鍵穴にそれを差し込んで、一瞬、躊躇う。


勝手に入って良いものか?
いや、でも昨日だって俺を一人置き去りにしたじゃないか。


知らない男の、俺を。
危ないくらい、不用心でお人よしな女だ。

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