Blackberry〜黒い果実〜
――しばしの静寂の後、狭い部屋に再び彼の寝息が戻って来た。


ホッと胸を撫で下ろし、次の瞬間には焦りが生まれる。


早く……。
早くこの場から立ち去らないと。


彼に背を向け、音を立てないようにゆっくりとコートを羽織り玄関に立つ。


鍵を開ける僅かな金属音でさえ、彼を起こしてしまうのではないかと心配になる。


静かにドアを開けて外に出た。


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