Blackberry〜黒い果実〜
ホントは声を聞くことすら嬉しいはずなのに、沸いて来る感情は哀しみばかりだった。


なんで私はいつも諦めなきゃいけないんだろう……。
なんでいつもあの子に譲らなきゃならないんだろう。


『あっ、いきなりゴメン。先日、君に助けてもらった者なんだけど』


返事のない私に、そう付け加える先輩。
そんなこと、聞かなくたって分かってるのに。


受話器を握る手に力が入る。
ここで覚悟を決めなきゃ、と。


『あの、鍵を……』

< 81 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop