last letter
「聞く前に自分が名乗ってください」
自転車を止めて私を見て頭を叩く彼。
「か…神田美帆。中三。」
「へぇ。漢字は?」
か…漢字って…
「背中にかいて。」
戸惑っていたのがわかったのか笑いながら言う彼。
震える手にちからをいれて彼の背中に漢字を書いていく。
「神に田んぼの田で?美しいに変な帆。か」
「変な帆ってなんですか!」
失礼な!
「なぁ。一緒にサボんね?
つかサボろ。」
「は、はぁ!?」
「おれ。雫。」
「え?」
「山井雫(やまいしずく)」
雫…
「女みたいな名前だろ?自分の名前…嫌いなんだ。」
そういった雫の背中は、小さく見えた。
「ううん。雫ってかっこいい名前だね。
私は好きだな。」
「は、はぁ!?」
耳まで一気に赤くなる雫。
「ん?名前。だーよ」
「わ!わっとるわ!」
「耳ま___...」
そう言おうとしたとき、横に目をやる。
「き……れい」
「だろ?俺の好きな場所。」
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