<完>孤独な姫さんは世界一の総長 番外編




だめだ、鮮明に覚えている紀優の顔。



怒った顔、照れている顔、



辰「リアルだったなあ・・」




広い部屋でポツリと言った言葉は、寂しく消えていった。



夢の中なら、あんなことやこんなことすればよかった、もう少し優しくできなかったのかよ‥俺・・と少し後悔した。



忘れられないのは、紀優の顔だけじゃない。




夢が覚める前の慧の最後の寂しそうな、かわいそうなものを見る顔だ。





夢の中で紀優と付き合っていたという内容は、本当は喜ぶべきなんだろうけど、



俺は、どうも気分が悪い。


最近は夢を見ず、紀優も出てこなかった。



久しぶりに夢を見て、それも紀優と会って、



まだ自分の想いが残っていることに気づいた自分にも慧にも苛立ちを覚えた。




辰「..馬鹿にしてんのかよ」




俺はこの年になっても、こんな捻くれた言葉しか出てこない。





現実で慧には勝てないと散々思ってきたからこそ、苛立ちが増す。




自分で勝手に描いた慧を勝手に誹謗中傷するのも、悪いが。





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