世界が虹色に輝く日



「おい、何してんだよ。」


「た、大輝‥‥」


一時間ほど前に会ったばっかなのに、変にひさしぶりに感じる。


「離してやってくんね?そいつのこと。」


「チッ、男いやがる。‥‥いこーぜ。」


パッと、そいつらは私の腕を離した。腕には強く掴まれた赤い痕があった。


「葵衣‥‥、大丈夫か?」


「大輝‥‥、ごめん‥、ごめんね‥‥」


さっき止まったばかりの涙がまた溢れ出してきた。


「私、自分勝手にあんなこと言っちゃって‥‥、大輝の気持ち考えてなくて‥‥大輝を傷つけた‥。」


「葵衣‥‥、お前、そんなこと‥‥。」


「うぅ‥‥、‥そんなことって何よぉ。」


涙は止まるどころか、だんだんと増えてくる。もう、制服の袖はグショグショだった。


< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop