あなたと恋の始め方①
私はというと真ん中のドアの乗車口に並んでいなかったので、三両目の一番端のドアから入って、小林さんの方には車内を通ってから移動しようと思った。でも、乗り込んだ先には既に小林さんが移動してきていた。私の姿を見つけた時から移動を始めたのだろう。ドアが開くとそこには小林さんの微笑みが合って自然と顔が緩む私が居た。
「お疲れ様。美羽ちゃん」
小林さんは私が後ろから乗っていた他の乗客の押しつぶされないように、壁の方に寄せるとその横に立つ。私の視界は小林さんのスーツに占領されていた。ドアと小林さんの身体で私は守られていて、私の身体が倒れないように小林さんの大きな手は私の手をそっと取ると、銀の支柱に捕まらせてくれたのだった。
「お疲れ様です」
見上げるとそこに顔があるのが分かっているので上げられない。私の視線の先には小林さんのワイシャツ。近い距離にドキドキが止まらなくなるし、話したいのに何を話していいかわからない。話したいことはたくさんあるのに何も話せずそんな状態のまま、耳が熱くなる。小林さんが私の耳の赤さに気付かなければいいのにと思ってしまった。
緊張するけど嬉しくて幸せで、気持ちの揺れが大きい。電車の揺れよりもそっちの方で倒れてしまいそう。でも、小林さんは普通と変わらなかった。
「仕事忙しかった?」
降り注ぐ小林さんの優しい声に頷くと、また小林さんの声が私の上に降り注いだ。
「俺も」
「お疲れ様。美羽ちゃん」
小林さんは私が後ろから乗っていた他の乗客の押しつぶされないように、壁の方に寄せるとその横に立つ。私の視界は小林さんのスーツに占領されていた。ドアと小林さんの身体で私は守られていて、私の身体が倒れないように小林さんの大きな手は私の手をそっと取ると、銀の支柱に捕まらせてくれたのだった。
「お疲れ様です」
見上げるとそこに顔があるのが分かっているので上げられない。私の視線の先には小林さんのワイシャツ。近い距離にドキドキが止まらなくなるし、話したいのに何を話していいかわからない。話したいことはたくさんあるのに何も話せずそんな状態のまま、耳が熱くなる。小林さんが私の耳の赤さに気付かなければいいのにと思ってしまった。
緊張するけど嬉しくて幸せで、気持ちの揺れが大きい。電車の揺れよりもそっちの方で倒れてしまいそう。でも、小林さんは普通と変わらなかった。
「仕事忙しかった?」
降り注ぐ小林さんの優しい声に頷くと、また小林さんの声が私の上に降り注いだ。
「俺も」