あなたと恋の始め方①
私が頷くと小林さんはゆっくりと私の手を握ってきた。大きな手に包まれる手は指がゆっくりと絡んでいく。手を繋いで歩くってことにドキドキしながらもポーっと身体も熱くなって。一層、顔も耳も熱い。サラリと掴まれた手はとても温かく感じる。これが付き合いだすということなのかもしれない。
「嫌?」
小林さんは前を向いたまま言葉を零す。私はゆっくりと首を横に振る。
「嫌じゃないです。緊張しますけど」
「そっか。よかった。俺も手を握るのに緊張した。美羽ちゃんに振りほどかれたらどうしようって」
そう呟くようにいい、ふぅーっと大きな息を吐く。私も緊張しているけど、小林さんも同じように緊張しているのだと思うと何だか嬉しい。こうやって友達から恋人になっていくのかもしれないと思う。でも、いくらなんでも振りほどいたりはしないと思う。
「嬉しいです」
「俺も嬉しいよ」
そして、小林さんは私の手を握る手に少しだけ力を込めるとニッコリと綺麗な顔で微笑む。月明かりの下。ゆっくりとマンションまでの道を歩く私たちの後ろにはアスファルトに黒い影が伸びていて、その手もキュッと握られている。長く伸びる影を見ながら、このままずっとこの手を握り歩いていきたいと心から思った。私のマンションに着いたのはそれからすぐのことだった。
見慣れた道なのにあまり見ることは出来ずにアスファルトばかりを見ていたような気がする。
「着いたね」
「嫌?」
小林さんは前を向いたまま言葉を零す。私はゆっくりと首を横に振る。
「嫌じゃないです。緊張しますけど」
「そっか。よかった。俺も手を握るのに緊張した。美羽ちゃんに振りほどかれたらどうしようって」
そう呟くようにいい、ふぅーっと大きな息を吐く。私も緊張しているけど、小林さんも同じように緊張しているのだと思うと何だか嬉しい。こうやって友達から恋人になっていくのかもしれないと思う。でも、いくらなんでも振りほどいたりはしないと思う。
「嬉しいです」
「俺も嬉しいよ」
そして、小林さんは私の手を握る手に少しだけ力を込めるとニッコリと綺麗な顔で微笑む。月明かりの下。ゆっくりとマンションまでの道を歩く私たちの後ろにはアスファルトに黒い影が伸びていて、その手もキュッと握られている。長く伸びる影を見ながら、このままずっとこの手を握り歩いていきたいと心から思った。私のマンションに着いたのはそれからすぐのことだった。
見慣れた道なのにあまり見ることは出来ずにアスファルトばかりを見ていたような気がする。
「着いたね」