あなたと恋の始め方①
「そう?それならここに居ようか。」


 ショーも見たいけど、小林さんと一緒の時間を大事にしたい気持ちも強かった。一緒に時間を過ごすたびに私の中に深く深く小林さんへの思いが募ってくるし、恋をしているのだと実感する。初めての彼がこんなに優しい上にずっと私が好きだった人というのも恵まれている。


 優しいだけでなくとっても優しい。


 ショーを見ながらも、小林さんの視線が不意に私に向けられて、その度に素直に心臓が飛び跳ねた。こんなにドキドキしていると、いつしか壊れてしまうのではないかとさえ思われた。一緒に出掛けたのは初めてではないのにいつもとは違う気がする。小林さんはいつも優しいけど、今日はいつもよりもより以上優しい気がした。


「楽しい?」


 耳元に囁かれる言葉に私が頷くと、小林さんは目を細めて微笑む。そして、ホッとしたような表情を浮かべた。


「美羽ちゃんが楽しいならよかった」


「小林さんは?」


「俺も楽しい」


 そしてしばらく二人で手を繋いだまま、ショーを見ているとスッと小林さんは私の手を手放した。そして、ゆっくりと私の肩にそっと触れる。小林さんの指先が私の肩を捕えるとゆっくりと引きよせられて、私の身体はすっぽりと小林さんの身体に寄り添っていた。触れる身体の感覚の甘さに見上げると優しい微笑みがあって。やっぱりまたドキドキする。


「これって高校生デートなんですか?」

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