あなたと恋の始め方①
「アカペラでいいですか?あんまり歌には自信がないですが」
小林さんは急に私の顔を見つめる。さっきまでの無邪気の子どものような微笑みが消えて行く。そして、零れたのは驚きを噛み殺したような言葉。さすがの小林さんも私がこんなことを言いだすとは思わなかったのだろう。
「本気?」
「いけませんか?小林さんが歌って欲しいって言うなら、私も頑張ります。」
「え、美羽ちゃん。マジで?」
テーブルに手を付いて立ち上がろうとすると、急に小林さんが慌てだした。その姿を見て、私はニッコリと微笑み、少し腰を浮かせて、座りなおした。
座りなおした私の顔に視線が注がれる。その視線を感じながら、私は一度視線をテーブルの上に移し、また、小林さんの方を見つめた。そして、生まれてきてくれたことに感謝の思いを込めて…。
「お誕生日おめでとうございます。歌はまた今度」
言葉には私の気持ちを全部乗せたつもりだった。「お誕生日おめでとう」の言葉と一緒に「大好き」という言葉も勿論つけた。小林さんは私の方を見つめ、綺麗な顔を緩めると、テーブルの上にある私の手にそっと自分の手を重ねたのだった。
「ありがとう。美羽ちゃん」
満面の笑みを称え、言葉と共に本気で喜んでいる表情に私は見とれてしまった。私が小林さんの表情を崩せたのは一瞬だけ。慣れないことはすべきじゃない。言った傍から恥ずかしくなるのは何故だろう。少しのイニシャーティブを取ったつもりが簡単に覆される。
小林さんは急に私の顔を見つめる。さっきまでの無邪気の子どものような微笑みが消えて行く。そして、零れたのは驚きを噛み殺したような言葉。さすがの小林さんも私がこんなことを言いだすとは思わなかったのだろう。
「本気?」
「いけませんか?小林さんが歌って欲しいって言うなら、私も頑張ります。」
「え、美羽ちゃん。マジで?」
テーブルに手を付いて立ち上がろうとすると、急に小林さんが慌てだした。その姿を見て、私はニッコリと微笑み、少し腰を浮かせて、座りなおした。
座りなおした私の顔に視線が注がれる。その視線を感じながら、私は一度視線をテーブルの上に移し、また、小林さんの方を見つめた。そして、生まれてきてくれたことに感謝の思いを込めて…。
「お誕生日おめでとうございます。歌はまた今度」
言葉には私の気持ちを全部乗せたつもりだった。「お誕生日おめでとう」の言葉と一緒に「大好き」という言葉も勿論つけた。小林さんは私の方を見つめ、綺麗な顔を緩めると、テーブルの上にある私の手にそっと自分の手を重ねたのだった。
「ありがとう。美羽ちゃん」
満面の笑みを称え、言葉と共に本気で喜んでいる表情に私は見とれてしまった。私が小林さんの表情を崩せたのは一瞬だけ。慣れないことはすべきじゃない。言った傍から恥ずかしくなるのは何故だろう。少しのイニシャーティブを取ったつもりが簡単に覆される。