あなたと恋の始め方①
二週間。思ったより時間がなかった。
でも、考えてみれば、この時期に高見主任が静岡まで来てくれたのは新商品の研究成果を見るというのもあるけど、このフランス研究所行のことを内々に教えに来てくれたのだろう。主任と言っても高見主任は優秀で上役にも覚えがいい。
だから、その色々な繋がりを使ってでも私が行かないと言うなら助けてくれると思う。普通の転勤は打診なんかない。今回はフランスという海外だからだというのもあるけど、私の小林さんへの気持ちも知っているからこその優しさだった。
「ありがとうございます。考えます」
「そうだね。大事なことだから納得がいくまで考えた方がいい。正直、フランス研究所に行くと仕事の幅が広がると思う。だけど、それは研究員としてであって、女性としての幸せとなると一概には言えない」
高見主任の言うとおりだった。もしも、フランスに行くとなると仕事の面では恵まれた状況になると思う。でも、今は小林さんとの距離が少しずつ縮まっている気がするから、この場では踏み切れなかった。私はどちらを選べばいいのだろう。
「さてと、もうそろそろ時間だね。俺と折戸は今から静岡支社に行く予定なんだ。久しぶりに蒼空の顔を見て帰ろうと思う。でも、坂上さんのフランス留学のことは何も言わないから、自分の口からきちんと言った方がいい」
「そうですね。でも、私がフランス研究所に行っても役に立たないのではないかと思いますが」
でも、考えてみれば、この時期に高見主任が静岡まで来てくれたのは新商品の研究成果を見るというのもあるけど、このフランス研究所行のことを内々に教えに来てくれたのだろう。主任と言っても高見主任は優秀で上役にも覚えがいい。
だから、その色々な繋がりを使ってでも私が行かないと言うなら助けてくれると思う。普通の転勤は打診なんかない。今回はフランスという海外だからだというのもあるけど、私の小林さんへの気持ちも知っているからこその優しさだった。
「ありがとうございます。考えます」
「そうだね。大事なことだから納得がいくまで考えた方がいい。正直、フランス研究所に行くと仕事の幅が広がると思う。だけど、それは研究員としてであって、女性としての幸せとなると一概には言えない」
高見主任の言うとおりだった。もしも、フランスに行くとなると仕事の面では恵まれた状況になると思う。でも、今は小林さんとの距離が少しずつ縮まっている気がするから、この場では踏み切れなかった。私はどちらを選べばいいのだろう。
「さてと、もうそろそろ時間だね。俺と折戸は今から静岡支社に行く予定なんだ。久しぶりに蒼空の顔を見て帰ろうと思う。でも、坂上さんのフランス留学のことは何も言わないから、自分の口からきちんと言った方がいい」
「そうですね。でも、私がフランス研究所に行っても役に立たないのではないかと思いますが」