あなたと恋の始め方①
「坂上さんは真面目だから、どこに行っても上手くやれると思う。謙遜は美徳のように思われるけど、もしもフランスに行くならもっと自分に自信を持つべきだよ。自分の意見を持って流されないようにしないとダメだよ」
高見主任の言葉は私を肯定するもので、嬉しい。高見主任のように仕事の上で尊敬出来る人から認められるということがこんなに嬉しいとは思わなかった。さっきから頭の中でクルクルと高見主任の言葉が回るのにこんな風に平静を装えるのはそのせいかもしれない。
「ありがとうございます」
「さ、早く仕事に戻らないと研究所に迷惑を掛けるね」
そんな言葉と共に三人で立ち上がると、折戸さんは綺麗な顔に満面の笑みを浮かべながら私の顔を覗き込んできた。頭の中はフランス研究所のことでいっぱいだったから、綺麗な顔に構えていなかった。私の心臓は正直で飛び出るのはないかと思うくらいに飛び跳ねた。
「約束覚えている?」
私の耳に届くのは甘く囁くような魅力溢れる声。別に言葉だけを見れば大したことないのに、なぜか折戸さんの口から紡がれる言葉には色を感じさせる。でも、何の約束だったか、全く覚えてなかった。
「え?何でしたか?」
「覚えてない?俺の約束ってそんなに軽いものだった?」
忘れるというか、本当に何の約束なのか覚えていなかった。先週の土曜日の時は特になかったし、その前のパソコンでのメールにも特にはなかったと思う。
高見主任の言葉は私を肯定するもので、嬉しい。高見主任のように仕事の上で尊敬出来る人から認められるということがこんなに嬉しいとは思わなかった。さっきから頭の中でクルクルと高見主任の言葉が回るのにこんな風に平静を装えるのはそのせいかもしれない。
「ありがとうございます」
「さ、早く仕事に戻らないと研究所に迷惑を掛けるね」
そんな言葉と共に三人で立ち上がると、折戸さんは綺麗な顔に満面の笑みを浮かべながら私の顔を覗き込んできた。頭の中はフランス研究所のことでいっぱいだったから、綺麗な顔に構えていなかった。私の心臓は正直で飛び出るのはないかと思うくらいに飛び跳ねた。
「約束覚えている?」
私の耳に届くのは甘く囁くような魅力溢れる声。別に言葉だけを見れば大したことないのに、なぜか折戸さんの口から紡がれる言葉には色を感じさせる。でも、何の約束だったか、全く覚えてなかった。
「え?何でしたか?」
「覚えてない?俺の約束ってそんなに軽いものだった?」
忘れるというか、本当に何の約束なのか覚えていなかった。先週の土曜日の時は特になかったし、その前のパソコンでのメールにも特にはなかったと思う。