I'm crazy about you.
「仕事が忙しくて、ってよりも、仕事が楽しくてなぁ…気が付けば彼女よりも仕事を優先してたんだよな」
「でもそれって」
「…確かにしょうがねぇじゃん、って思うよな」
店員に二人分の新しい酒を頼んだ後で、克哉さんは笑いながらそう言った。
「まぁでもさ…そうやって放っておいたのは事実だからな。彼女が他の男を好きになっても…それだってしょうがねぇよなぁ」
「えっ…」
俺は克哉さんの言葉に絶句。
身に覚えの有りすぎる話は、俺を焦らすには十分な威力を持っていた。
「お前、明日休んでいいからさ。彼女んとこ、行ってこいよ」
「克哉さん…」
「まぁ最近ちょっと忙しすぎるしな…どんくらい会ってない訳?」
「え?……多分…三カ月半…くらいッスかね…」
俺が頭を掻きつつそう言うと、克哉さんが深い溜息を吐いた。
「さすがにそれは…」
「え、そんな目で見ないでくださいよ…俺だって悪ぃとは思うけど…」
語尾がどんどん弱くなって、克哉さんの同情の目に居たたまれなくなった。