I'm crazy about you.
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「お前男できた?」
「違うって言ってるじゃない。なんで信じてくれないの?」
「じゃぁなんでこんなに会えねぇんだよ!」
「だからそれは」
「うるせぇ!」
俺がいきなり怒鳴ったから、ビックリして怯えた七海の腕を、俺は強く掴んだ。
痛いと訴えているのも知らん顔で、泣いてるのも気にせずひどい抱き方をした。
それでも俺を責めないのは、七海にやましいところがあるからだと俺は思った。
今思えば浅はかとしか言えないけど、あの時の俺はおかしかったんだと思う。
その数日後のサークルの飲み会を女と抜け出してた。
どうせ会えない七海が家に来る訳ないと高を括って、そのまま女を家に連れ込んだ。
翌朝、合鍵で家に入ってきた七海と目が合ったあの瞬間を、俺は一生忘れないだろうな。
暫らくして七海は許してくれたけど、あれ以来俺のアパートには一度も来なかった。
そんな事も忘れて部屋に連れ込もうとして、頑なな七海と喧嘩して泣かせた事もあったっけ。
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