I'm crazy about you.


「お前さぁ…誰かと一緒にでもいる訳?」

頑なに会う事を拒む七海に、昨夜の笑顔がちらついた。
返事を待つ一瞬一瞬がやけに長く感じて、自分の鼓動がやけに大きく響いて耳障りだった。



まさか。
でももしかして、と疑惑が顔を出す。




「なぁ、黙ってるって事は肯定?」
『違う!』

瞬時に否定の言葉が返ってきて俺がどんなにホッとしたかなんて、きっと誰にも分からないだろうけど。





『京輔は…どう、なの?』

七海からの言葉に疑問が湧いた。



『…また…また私を言い訳に浮気するの?』

ポツリと呟いた七海のその言葉は、大きな波紋を俺の中に残す。
まさか、今更その事を蒸し返されるとは思わなかったし、あの時だって、七海はこんな風に責めたりしなかったから。




七海は俺のする事ならなんでも許してくれると、どこかで勝手に思い込んでいたのだと気付いた。




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