I'm crazy about you.
6:京輔
***
『京輔は…私に……会いたいって…思ってくれるの?』
電話越しの七海の声が震えているのに気づいた。
それだけで、自分がどれほど彼女に甘えて、ないがしろにしていたかを思わせる。
『あ、あのね…私も京輔に会いたい』
会いたいと思っていると伝えれば、すぐに返ってくる想い。
それを嬉しいと思う気持ちが俺にはまだ存在していて。
気付いてよかった、とマジで思った。
それから三十分。
待ち遠しくて車の外に出る。
あまり人目につかないこの場所は、木陰にあるので日が射さない。
それ故に、長年自分達の短い…別れ際の貴重な逢瀬の場所だったのだが。
そんなありがたい場所も、この時期人を待つには優しくない場所で。
「うー、寒ぃ」
車だから、と薄着の自分。
だけど今は。