I'm crazy about you.
「京輔!」
公園の曲がり角から顔を出した七海が、俺の名前を呼んだ。
「でけぇ声」
ククッ、と笑いが込み上げた。
会いたかったのは、待ちきれなかったのは俺だけじゃなかったんだって、遠めでも分かる上気した頬と弾んだ息が伝えてくれる。
それがこんなにも嬉しいなんて。
「七海!」
走ってきた七海をギュッと抱き締めた。
その身体は相変わらず小さくて、それが必死に俺の背中を抱き締めているのがたまらなくて。
「七海…ごめんな」
覗き込むようにそう口にして、そのままそっと唇を重ねた。
「…んっ……」
冷たい自分の唇に七海の熱を感じて、そのまま角度を変えながら深く口づけていく。
耳に届いた七海の吐息が、思いがけず身体の熱を生むのが分かる。
触れた七海の熱も柔らかな香りも、想像ではこんなにリアルじゃなかった。
そんなのは当たり前なのに、それを今更ながらに強く思った。