I'm crazy about you.


「私の残業は一時間の予定なんですよ?こんなの三時間くらいかかるじゃないですかぁー」
「だからお前にやらせるんじゃん」
「ひどっ…」
「あははは。頼んだぞ七海」
「えー。じゃあ、夕飯奢ってください。それで手を打ちます」
「相変わらず安いなぁ」
「いいんです、別に」

たわいもない会話をしながらも手を動かして、重たくくすぶっていた気持ちが少し軽くなった。




いつだってそう。

私の気持ちの変化に誰よりも早く気付いてくれるのは瀬川さん。
甘い言葉や慰めなんかじゃなくて、仕事を押しつけたり仕事の補佐を頼まれたり。
くだらない言葉の応酬で、気付けば京輔の事を忘れているのだ。


今日だって、少し卑屈になっていた私がもう笑ってるんだもの。
瀬川さんて本当に凄いな…。



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