白と黒、そして白濁
1章 目覚める
白の中に黒が落とされた。
黒は白を巻き込み、色を濁らせる。
目を覚ました瞬間から彼は私の側にいた。
「白(しろ)…」
「あなたは誰?……私は誰?」
彼の声がする方へ私は話しかけた。
「僕は黒(くろ)、君は白。兄妹さ」
「兄妹?あなたの姿を見たいわ」
「君に僕は見えない。僕に君は見えない」
「それはこの部屋が真っ暗だからよ」
「ここは部屋じゃない。世界だ。ここで生き、ここで死ぬ。僕たちには何も見えない」
「よく…わからないわ」