白と黒、そして白濁
3章 兄弟
こうして私達は王宮を目指し歩きだした。
スラムの街をキョロキョロしながら私は聞いた。
「波飛、この国は貧しい国なの?」
「いいや、国の都市だけは栄えてるよ。他はみんな、ここと同じようなもん。だから、汚い格好をしていると都市には入れないんだ。だから都市近くの露店で服を盗む」
「ええ!?駄目よ!!!!盗むなんて!」
私は波飛の腕を引っ張った。波飛は立ち止まり、ため息をついた。
「じゃあどうやって都市に入るの?言っとくけど、僕だけじゃなくて白も靴がなければ入れないからね」
「でも!別の方法があるはずよ!!」
「へー、どんな?」
「えっと…とにかく、あるはずよ!波飛はそういう生活しかしたことがないから、それしか思いつかないだけで…」
バッ
私の言葉を遮るように波飛が私の手を振り払った。
「波飛?」
「好きで…好きでそんな生活してるわけじゃないよ!!!!!!!!!!」
波飛は大声で叫び、スラムの街を走っていってしまった。
古びた住宅がいりくんでいるせいで、追いかける前に、波飛の姿は見えなくなった。