白と黒、そして白濁

「そっかぁー。人探しね、うんうん。それは心配だね。それなら、俺達も手伝うから、泊まりにきて！」

「ええ！そんな！世話になりっぱなしになってしまうわ！悪いわよ」

「いいの、いいの！さあ行こう！」

鈴蘭は私の肩を抱いて歩き出した。後ろから藤もついてくる。

「鈴蘭、藤、ありがとう」

私は濁りのない笑顔を二人に向けた。藤と鈴蘭は照れて一気に顔を赤くした。

「兄ちゃん何照れてるんだよ！！」
鈴蘭は自分を棚に上げた。
「なっ！！鈴蘭も真っ赤だぞ！！」

そんな二人のやりとりを見て、私はすごく心が温かくなった。
同時に、こういうふうに家族と過ごす時間を奪われてしまった波飛の苦悩が、ほんの少しだけわかった気がした。

だけど、波飛の苦悩はまだまだわからない。家族を失った。その事実にどれだけ苦しみ、どれだけ悲しんだのか…
立ち上がるまでに、どれだけの時間をもがいたのだろう…

波飛を見つけたら、ちゃんと謝ろう。