白と黒、そして白濁
「ああ、慕っていた兄を忘れることができなくて、わざとそう呼んだでるんだとよ」
「そう……。それ以前に何があったの?
みんなを苦しめたのは誰なの?」
「ひとつ言えるのは、一番の悪者はこの国の王、黒だということ」
え?
私は驚いて目を大きく開いた。
黒が?どうして?
待て待て、私の知っている黒だとは限らないじゃない!!
落ち着かなきゃ……
私は深呼吸した。
「波飛の両親は王の乗った馬車にひかれて亡くなったよ。幼かった波飛は、当然困った。みんなその時は心配をしたよ。」
「だけど波飛はみんなに迷惑をかけたくなかったのだろう。王に両親の話しをした。すると王は波飛にお金を与えた。このスラム街に火を放つことを条件に」
「そんな………」
私は絶望で、なぜか自分の両手を見ていた。