白と黒、そして白濁
「僕は君に生きてほしい」
「……わかったわ。もう聞かないわ」
私はしゅんと少し落ち込んだ。
「白……僕のこと好きかい?」
勢いよく顔を上げた。
「ええ!好きよ。黒がいなければ、私は不安でしょうがなかったと思う」
「そうか。とても嬉しいよ…ブブブッ」
黒の言葉の語尾に、機械音みたいな音が混ざった。
「黒………?」
「ごめんね白。時間切れだよ」
「っえ?」
「いつか君の姿を見たいな、死ぬ前に。だから白、僕のことを探してくれないか。本当の僕を。………ブッ」
何が起きたのか、真っ黒だった世界が真っ白な世界に変わった。
電気がついたのだと知る。
だが、ここは世界ではなく、部屋だった。
ただの白い部屋。
辺りを見回しても、黒らしき人の気配なんてなかった。