白と黒、そして白濁
日は沈み、もうみんな寝た時間。
私たちは、王宮を目指して歩き出した。
「波飛…、ごめんね。盗むことを駄目だと言って。いいえ、もちろん駄目なんだけど。波飛は、っていうかこの街の人は盗みたくて盗むんじゃなくて、盗むことでしか生きられない人もいるんだってわかった。
本当にごめんね」
「いいんだ。構わないよ。
僕こそごめんね。白の優しさに甘えてばっかりだよ」
「あら、私のほうが甘えているわ。
私、波飛が一緒にきてくれてとっても嬉しいの。
波飛がいなくなった時、とっても悲しかったから」
「そっか。もう二度と離れないから安心してよ」
波飛は私の手を握って無邪気に微笑んだ。
「ええ!当たり前だわ」
私もニッコリと微笑んだ。