白と黒、そして白濁
8章 サンタさん
「暑い…暑いよー、暑いよー藤。なんとかして~。医者だろ~」
「うるさいぞ鈴蘭。話せるくらい元気なんだ。まだまだ丈夫だよ」
「うわーひでー。ねぇ某ー変わってよー」
鈴蘭はグランソワンに抱きついた。
旅立ってからこのかた、ずっと某はグランソワンに乗馬している。
「いやだね」
「うわー俺本当にやばいんだからねー」
私たちはもといた第57スラム街を旅立ち、第56スラム街へ移動しようとしていた。
だが、第56スラム街はとても規模が小さく、街の周辺を砂漠が埋めている。
「あ~ふじぃ」
鈴蘭が藤の背中に抱きついた。
「なんだ?鈴蘭」
「だっこしてぇ」
そう言って鈴蘭はドサァッと砂の上に倒れた。
「鈴蘭!?」
私と波飛が鈴蘭に近寄った。
「本当に具合が悪かったのか!!」
藤が鈴蘭を抱き起こした。