白と黒、そして白濁
「ごめんね、お姉ちゃん。本当にごめん。僕の家族は王に殺されたから、つい親しい人だと思うと、身構えてしまうんだ。でもよーく考えてみれば、王に親しい人が裸足なんてありえないよね」
少年はクスクス笑った。その笑顔が無邪気で、私は少し安心して微笑んだ。
「お姉ちゃん!お姉ちゃんって笑うとすごく可愛いね!!もともとどこにいたの?お姉ちゃんくらい可愛かったら遊女にでもなんでもなってたっくさん稼げるのに」
「身体を売るのは気が引けるわ。でもありがとう。私がいたのはあそこよ」
私は立ち止まって土の家に指をさした。
「さっき目覚めたの。そしてさっき黒がいなくなってしまったの」
「なにそれ?よくわかんない。とにかく黒っていう人を探しているんだね。なんなら僕も手伝おうか?」
「え!?いいの?」
「いいよ!どうせ僕は天涯孤独だしね!一人ぼっちよりは、お姉ちゃんと人探しの方が楽しそう!」
少年はまた無邪気に笑い、自分の胸を叩いた。
私はニコニコ笑った。
「嬉しい。頼もしいわ」