小路に咲いた小さな花
考えていたら、小さく笑われた。
「そもそも、彩菜って平気で俺の部屋に来るでしょ」
うん。どちらかって言うと、小さな頃から出入りしているし、用事があればママさんも通してくれるから……
「たぶん、今後はお袋に止められるだろうけど」
「そう……なの?」
「部屋なんて密室だよ? 何されても文句言えないよ?」
「…………」
そ、そうかも知れないけど……
ニコニコ言われても、何だか危機感はないけれど。
「彩菜みたいにウブで、そこそこ大人の女の人が、部屋に無防備に入ってきたら、いただきますって感じでしょ」
すみません。思いっきり危険でした。
い、いただきますって……
私、いただかれちゃうの?
今、危険? 今まさに危険?
それって満面の笑みでいうことじゃない───────!
「そんな感じで、彩菜は女の自覚がないらしい」
らしい?
「磯村に言われた。なんかムカツク」
ムカついてるらしいけど、ニコニコの敬ちゃんが薄ら寒い。
そうか。
敬ちゃんて、怒っていても笑顔なんだ。
新発見。
「この商店街も特殊だからなぁ。俺たちも兄妹みたいに育ってきたし」
「…………」
そうだね。
ちょっと年の離れた兄妹みたいに育ったね。
あの頃はマンションも少なくて、商店街で遊ぶ子供は少なかった。
敬ちゃんの兄ちゃんは、物心つく頃には大人だったし、遊びの中心は敬ちゃんと私だけ。
「……せめて小学生の頃くらい、男の子と遊ばせるべきだったかなぁ」
ん?
「中学くらいになったら、自然と異性の視線くらい気にするようになるんだけどね」
「えーと……なんだろ。遊ばせるとか、どういう意味だろ?」
「……気づいてないのが彩菜だよね」
何が……と、考えて気がついた。
「もしかして、私の友達悪い虫扱いされたの!?」
「うん。したの」
「ひどい! どーしてそういう事するわけ。そんなに変な子はいなかったじゃない」
「あの頃は俺も子供だし……」
言いかけて、首を傾げられる。
「いやー……そうか。そういう事か」
「勝手に納得しない! 敬ちゃんって勝手に納得するんだから!」
「うーん。とにかく、付き合おう」
「どーしてそんな結論になるの!」
「え? だって好きだよね?」
「私だけ好きでも、付き合うことにはならない!」
「大丈夫。俺も好きだから」
「誠意が感じられない!」
「え。誠意って言われても」
「だって、何だか軽いんだも……」
「ふーん?」
「…………」
冷たい視線に黙り込んだ。
「そもそも、彩菜って平気で俺の部屋に来るでしょ」
うん。どちらかって言うと、小さな頃から出入りしているし、用事があればママさんも通してくれるから……
「たぶん、今後はお袋に止められるだろうけど」
「そう……なの?」
「部屋なんて密室だよ? 何されても文句言えないよ?」
「…………」
そ、そうかも知れないけど……
ニコニコ言われても、何だか危機感はないけれど。
「彩菜みたいにウブで、そこそこ大人の女の人が、部屋に無防備に入ってきたら、いただきますって感じでしょ」
すみません。思いっきり危険でした。
い、いただきますって……
私、いただかれちゃうの?
今、危険? 今まさに危険?
それって満面の笑みでいうことじゃない───────!
「そんな感じで、彩菜は女の自覚がないらしい」
らしい?
「磯村に言われた。なんかムカツク」
ムカついてるらしいけど、ニコニコの敬ちゃんが薄ら寒い。
そうか。
敬ちゃんて、怒っていても笑顔なんだ。
新発見。
「この商店街も特殊だからなぁ。俺たちも兄妹みたいに育ってきたし」
「…………」
そうだね。
ちょっと年の離れた兄妹みたいに育ったね。
あの頃はマンションも少なくて、商店街で遊ぶ子供は少なかった。
敬ちゃんの兄ちゃんは、物心つく頃には大人だったし、遊びの中心は敬ちゃんと私だけ。
「……せめて小学生の頃くらい、男の子と遊ばせるべきだったかなぁ」
ん?
「中学くらいになったら、自然と異性の視線くらい気にするようになるんだけどね」
「えーと……なんだろ。遊ばせるとか、どういう意味だろ?」
「……気づいてないのが彩菜だよね」
何が……と、考えて気がついた。
「もしかして、私の友達悪い虫扱いされたの!?」
「うん。したの」
「ひどい! どーしてそういう事するわけ。そんなに変な子はいなかったじゃない」
「あの頃は俺も子供だし……」
言いかけて、首を傾げられる。
「いやー……そうか。そういう事か」
「勝手に納得しない! 敬ちゃんって勝手に納得するんだから!」
「うーん。とにかく、付き合おう」
「どーしてそんな結論になるの!」
「え? だって好きだよね?」
「私だけ好きでも、付き合うことにはならない!」
「大丈夫。俺も好きだから」
「誠意が感じられない!」
「え。誠意って言われても」
「だって、何だか軽いんだも……」
「ふーん?」
「…………」
冷たい視線に黙り込んだ。