小路に咲いた小さな花
プレゼント……イコールお見合い。

図式が出来上がってギョッとした。

小さな通りの小さな商店街。

いらないお世話焼きはたくさんいるね。

間違いなくいるよね。

まだ若いうちはいいけれど、そのうち私も歳を取る。

歳を取ったら結婚をみんなに心配されて……

「い、いこうかな」

「ラッキー。これで話し相手ができた」

ニコニコ微笑む敬ちゃんをつくづく眺める。

「…………」

敬ちゃん。

寂しい人生ね。

「敬ちゃんは相変わらず彼女いないの?」

「彩菜も相変わらず彼氏いないわけでしょ」

「私と敬ちゃんは、年齢も違うでしょう?」

「うわ。メチャメチャ痛いー」

お味噌汁を飲みながら、棒読みで言われてもなぁ。

敬ちゃんて、何を考えているか解らない。

「行くのはいいけど、いつ飲み会なの?」

「ん? 明日~」

あ、明日?

唐突に明日ですか、お兄さん。

「いきなりすぎない?」

「うん。そうだね~。プロポーズが一昨日で、急にお祝いしようって事になったんだよね」

プロポーズが一昨日……

「ああ、そいつ磯村って言うんだけどね。会社で指輪渡したんだ。すごいよね」

会社で働いた事がないから、それがどれだけすごいのか解らないけど。

たぶん男の人にとったらすごい事になるんだろう。

「どこに行くの? お洒落していけばいい?」

「そうだね~。宅飲みになるから、そんなに気合い入れない程度でいいと思うよ?」

聞いた感じ、相手してくれるのは敬ちゃんだけみたいだしね。

「お祝いなら花束作ろうかな。あ、でも結婚するなら鉢植えの方がいいかな。他に何かいる?」

ご飯をパクパク食べながら聞くと、敬ちゃんは食後のお茶を飲みながら、眉間にシワを寄せて考えている。

「伊原さん料理人だし、いらないんじゃないかな。俺は前回、飲み物少し買ったくらいで、葛西は家から高級酒持ってきてた」

当たり前のように次々飛び出す名前。

「……ごめん。交遊関係が全く見えない」

「あー……ええと、磯村と葛西は大学からの付き合いで、伊原さんが磯村の彼女」

磯村さんと、伊原さんが恋人同士。

「それで、水瀬さんが伊原さんの友達で、葛西の好きな人」

「うんうん」

「磯村が営業部で、葛西が秘書課で、伊原さんが総務部で、水瀬さんが医務室の女医さん」

「う……うん」

そして、伊原さんが料理人……
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