小路に咲いた小さな花
「……初デートですが、何か?」

「あ。うん。そっか……ごめん」

「何がごめんなの」

「……ある意味すっげぇ新鮮」

新鮮?

と言うか今更?

何がどうなって今の言動?

いろんな疑問が湧いてきたけど、とてもウキウキし始めた敬介を眺めながらお茶を飲み干した。

「夕飯食べて帰るって書き置きしてきたけど、帰る?」

「それは俺が嫌だ。せっかく邪魔が入らないんだから、もっと堪能したい」

「親父みたいな事言わないでよ」

「彼氏を親父って言わない」

「彼……」

彼氏。

敬介が彼氏。

「……いいの?」

「何が?」

不思議そうに呟くと、不思議そうに返される。

「……だって、あの、敬介は私が彼女でいいの?」

首を傾げたら、その頬をむにむにつねられて、静かな視線が返ってきた。

「あのな。彩菜」

「は、はい……」

「誰のために俺は3年一人でいたと思ってるんだ?」

あ。ブラック敬介降臨?

「俺も諦めて他探そうか……と、思ったら、唐突に俺より“いい男”見つけてやる宣言されたんだぞ?」

「だ……だって、敬介だって、いつもいい人できたら見せろだの、彼氏できないのかだの……」

「そりゃそうだろ」

……何がそうなのよ。

「他に男が出来た、なんて聞いたら、まず叩き潰すだろ」

いや、叩き潰さないで欲しいですが。

「俺は独占欲強いからよろしくー」

って、ニコニコ笑顔だけど……

やっぱりブラック敬介は恐い。
















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