♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
「…確かに、あの女、恵美子は神様じゃない。

だが、悪魔だ。そんな事ぐらい、たやすくできてしまうのさ。

…それだけ、俺様が閃きこの女に与えたヒントってのは、罪深く、そして強力なのさ。」

ヴァンパイア礼士は、そう言って深いため息をついた。




「…アンタがそこまで自信もって言うんなら、そ、そうなんでしょうね。

でも、やっぱり腑に落ちないのは、何で私にこの案件を任せようとするのか?

私が言うのも何だけど、アンタ、私の事が好きなんでしょ?

好きな女の子を、危険な目に合わせたい、アンタの心内が分かんないんだけれど?」

じっ、と、ヴァンパイア礼士を見つめる春子。

その質問に、ヴァンパイア礼士は、奇妙な受け答えをし始めた。

「…初めは、もしお前がどうしてもイヤ、ってんなら、俺様自ら解決する決意を固めたんだがねえ。

お前の弁当食って、俺よりお前の方が適任だと感じたんだよな。」

「はあ?

それって、どういう意味?って、わぁ~っ!

もう全部食べちゃってる、信じられない!

わ、私がこのお弁当作るのに、どれだけ苦労して…」

「…そうだろうな。この弁当食って、美味かったけれど、すっげー悔しい、礼士の奴が羨ましいって、思っちまったからな。」

「?」
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