♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
「…この弁当には、礼士に対する、お前の愛情が沢山詰め込まれていた。」

「…」

「唐揚げ、ピーマンと佃煮昆布の炒め物、卵焼き…

全部、あいつの好きな物ばかりだ。」

「あ、当たり前じゃない?

好きな人のお弁当に、嫌いな物なんて入れる訳無いでしょ?

そんな情報だけで、私の、礼士さんへの気持ちを理解した様な言い方しないで欲しい…」

「…唐揚げは、使っている肉は、鶏肉じゃなく豚肉。

何故なら礼士は、二本足の動物を食う事を忌み嫌っているから。

下味を付けない代わりに、ほんの少し、醤油を垂らして食うのがアイツは好きなんだ。

卵焼きは、砂糖じゃなくて、塩と昆布だしを混ぜた物を混ぜ合わせて焼いている。

甘い卵焼き、あいつ嫌がるからな。

そして、ピーマンと佃煮昆布の炒め物。

ピーマンが細切りにされているのは、嫌いなピーマンを克服しようと最近、礼士の奴が頑張っているから…」

「…」

「この弁当のおかずの一つ一つが、『好き』って、礼士への想いをアピールしまくってた。

…いいか?こんな弁当を作れる奴は、世界で二人しかいないんだ。

一人は、礼士の家族、まあ、大体においては、母親だろう。

自分の子供の事だから、その辺りは自然にこなすだろう。

残りの一人は…
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