♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
次の日、春子はクラスで中川猛とまたもや口論していた。

「ふふ~ん、な~んども何度も念を押しますが、終業式の十二月二十一日が、アナタがトランプのカードを消し去る事の出来るマジックを、我々の前で披露できるタイムリミットですぞ、松永さん?

…良いトリック、思い付きましたか~っ?」

七三分けに、古風な丸メガネの中川猛の言葉に、イラッときた春子。

「しつこいわね、アンタ!

授業の休み時間ごとに、いちいち確認に来ないでよ!

…やってみせるんだから、絶対に!」

「いや~っ、結構、結構。

楽しみにしてますよ~。

…奇術同好会を消し去るトリックを(笑)」

-ほんっとに、イヤらしい性格してるわね!

でも、このままじゃ、この勝負、負けちゃう!

中川にも、ヴァンパイア礼士にも!

礼士先輩~っ!-




「…で、乙女座、何か分かった?」

「…で、ヴァンパイア、何でアンタが目覚めてる訳?

いつもは、言いたい事言ったきり、出て来ない癖に!」

「いや、な。コイツ…礼士の奴が、余りにもそのトリックが解けないものだから、いつもの様に動き回って解決しようと、もうすぐで遠山恵美子に近づきそうになったから、しばらくの間、俺様の方が起きてる事にしたんだ。」

「そ、そこまでして私達に合わせない様にするぐらいの奴なら、やっぱりアンタがやればいいんじゃない?」

「…そうだな、そうするか、乙女座?」

「えっ!?」
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