♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
そう言うと春子は、手提げかばんから、ペットボトルのトマトジュースを素早く取り出すと、椅子からさっと立ち上がり、忍者の様に後ろ方向へ飛び退きつつ、トマトジュースを礼士の方に投げつけた。

それをナイスキャッチした、ニヒルな笑いを浮かべた安宮礼士…もとい、ヴァンパイア礼士。

ヴァンパイア礼士は、ペットボトルのキャップを外し、ゴクゴクと半分まで飲み干した後、髪をかき分けながら春子に言った。

「美味いメシに、美味いトマトジュース。満足、満足。

…っと、そうそう、おまえの話の事だが、つまり、こういう事ね。

『クラスメートの中川猛って奴の挑発に乗せられて、みんなの取り囲む前で、観客の指定したトランプのカードを見事消し去らねばならぬ。

-それぐらい朝飯前よ、出来ない時は、奇術同好会、たたんじゃっても良いわ。

この松永春子さんを、みくびってもらっちゃ、困るのよ。ほほほ…

…ってな展開になって、困ってるんです。

礼士先輩、どうしましょう~。

うぇ~ん!-』

…お前の事は好きだけれど、あえて言っておく。

あまり、礼士君を振り回してやるな。

恋のライバルとは言え、少し同情しちまうよ。

その疲れる所が無ければ、完璧な良いオンナなのにね。

…礼士の身体は、俺様の身体でもあるので、もう少しいたわって欲し…」
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