♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
どうにもこうにも、未だ解決の糸口がつかめない春子は、ひとまず心を落ち着かせる為に、何か冷たい物をと、台所に向かった。

そして冷蔵庫に手をかけようとしたその時、後ろから誰かが話しかけてきた。

春子が振り向くと、そこには弟の達也が立っていた。

「どうしたの、達也。何か用?

…なっ、何よ気持ち悪いわね!

何ニヤニヤしてるのよ!」

「へへ~ん!これ、何だか分かる?」

そう言われて、春子は達也が両手に持っている物を見た。

「…カップ?それがどうしたの?」

春子が、不思議そうな顔をしながら達也にそう言うと、達也はクスクス笑いながらこう答えた。

「こ・れ・は、あの粉裳礼美堂のあんみつの食い終わった後の空きカップさ。」

「ああ、そう言えば昨日、母さんがまた買ってくるって言ってたわね。

じゃあ、私も気分転換に食べ…」

「あ・ね・き~、昨日俺、食いもんの恨みの話したの、忘れた?

よ~く、もう一度俺の方を見てみてよ!」

「ハァ?一体何が言いたいの、アンタは!?

…空きカップを両手に握りしめてそれがどうし…

…ん!?」
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