♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
そして達也は、その取り出した物を春子に差し出し言った。

「あ…姉貴の分だよう。

く、悔しかったから、ちょ、ちょっと驚かせてやろうと思っただけなのに…」

「あ、あんみつ?私の分?」

春子がその事に驚いていると、そばでその様子を見守っていた母親が、不思議そうな表情で言った。

「おかしいわねえ。粉裳礼美堂のあんみつ、確か二つしか買ってないはずなのに…

母さんは昨日食べて十分、父さんは海外出張中だからアンタ達の分しか、用意してないから…」

「えっ!?」

春子は、その母親の言葉に強く反応し、もう一度、達也の持っていたテーブルに置かれた二つの空のカップを見比べてみた。

そして春子は、ある事に気づいて、思わずあっ、と声を上げた。

「こ、こっちのカップは、食べた後に残っているあんこの後が、まだネトッとしているのに、もう一つのカップにこびり付いているあんこは、もうカピカピに乾いちゃっている…

…まさか、アンタ!」

そう言って、春子が達也の方にジロッと振り向くと、達也はビクッとしながら、ある一つの真実を語り出した。
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