♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
「カードまで、私にゆだねて。

…ギブアップ、ですかな、松永さん?」

「違うわよ。どうせ何から何まで疑い尽くすアンタの事。

最終的にそのボックスに、私がアンタに渡したカードを入れるつもりだったから、アンタ自身がそのボックスに四枚のカードを入れた上で、アンタの指定したカード、みんなの前で消してやろうかと思ってね!」

その春子の、中川猛とのやり取りが、あまりにも投げやりな態度にうつった礼士は、心配になって春子に尋ねた。

「ちょ、ちょっとハルちゃん!

僕やそのボックスが取り上げられるのは仕方がないとしても、自分の手に持っていたカードまで渡しちゃうなんて、少しやりすぎじゃない?

どうやって、マジックやるつもりだい!?」

だが、その礼士の言葉に対して、春子は何も答えなかった。

「…え~っと、では松永さん、ここから私は一体どうすれば良いんでしょうかね?」

少し困った表情を浮かべながら、中川猛は春子に言った。

「私の助手をしてくれるんでしょ?

じゃあ、周りの観客の皆さんに見える様に、一枚一枚、何のカードなのか読み上げながら、その黒い小さなボックスの中に入れていってもらえるかしら?

全部入れたら、よくかき混ぜて、また私にそのボックスを返してもらえるかしら?

最後の仕上げが残っているから。」
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