♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
そう言って春子は、その容器のふたを取り、ガサガサと、一粒残らず容器に入っていた砂を、そのカードの入ったボックスの中に注ぎ込んだ。

「後、中川、アンタのハンカチ貸してくれない?

…持ってないとか言わないでよ、トイレぐらい行くでしょ?

助手をつとめてくれたお礼に、アンタに今回のマジックの見せ場譲ってあげるから!」

「…ふん!それは最後に私に対しての仕返しとして、せめて私に恥でもかかせようと言うつもりですか?

ハンカチぐらい、最低限の身だしなみとして持ってますって!

結局、マジックは思いつかなかったんでしょ…」

「いいから早く!そしてそのハンカチを、ボックスの穴にふたをする様にかぶせて!

…そうそう。そして心の中で、『ハートのAよ、消えろ!』って、三回つぶやいてから、そのハンカチをどけてくれる?」

「くっ…くくくっ!」

「…何が、おかしいのよ。」

「いやあ~っ、負けた悔しさで、頭おかしくなっちゃったのかなあ、って。

…解った、解りましたよ。アナタの、奇術同好会最後のマジック、お手伝いしましょ!




ハートのAよ、消えろ、ハートのAよ、消えろ、ハートのAよ、消えろ…




はい、じゃあハンカチを取りましてぇ~っ、中からハートのAを取り出しましてぇ~っ…




…え!?」
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