♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
礼士は、春子の解説を聞き、うーむと唸ると、更に春子に尋ねた。

「何となくは、解った。

じゃあ、ハルちゃんが教室で披露した、あのマジックのタネを教えてよ。

さっきまでの話と、どうつながっていくのかを。」

「分かりました。実は昨日、礼士先輩と今日のマジックやる上での話し合いをする前に、中川猛に提案を持ちかけていたんです。

『対戦者のアンタに言うのも奇妙な事だけれども、今回は頭を下げるから、協力して欲しい。

報酬として、あの粉裳礼美堂のあんみつ一杯無料券をあげるから』って。

彼、実はお昼のお弁当の後には、必ず何かしら甘い物を食べるぐらい、甘い物には目がないんです。」

「つまり、対戦者を買収したって訳か。」

「そうです。そして、ハートのAを消す為には、観客のみんなに、『確かにそこに有る』と思ってもらわないといけません。

そこで、覚えてますか?中川猛が、自分自身でボックス内に四枚のカードを入れてかき混ぜた後、『自分自身で四枚のカードを入れたから間違いない』と言ったのを。

実は、かき混ぜた時に、中川猛にハートのAは、こっそり回収してもらっていたんです。

その上で、『四枚とも存在する』と宣言した中川猛。

その言葉を受けて、観客のみんなは、『勝手に』自分自身の中で、そのボックスの中にハートのAの存在を認めてしまった…」
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