♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
そう言って、変装をときながら、曇った表情をする春子。

だが、より曇った表情をしたのは、その様子を見たヴァンパイア礼士の方だった。

-納得いってないようだな。勝手な行動を起こさなければいいが…-

「おい、乙女座。本番は、俺様がきち~んと監督しといてやるから。

お前の役割はこれで終わり。苦労をかけた。ありがとな!

だから、大人しくその日はお家でクリスマスパーティーだ。

ターキーに、クリスマスケーキ。良い子にはサンタさん。

楽しいぞ~。」

「うん…」

-まずいな。この調子だと、クリスマス・イヴの本番に秋野修二と安華江の様子を伺いに外出するだろうな。-





-ほらね。だが、全ての情報源が俺様頼りな今回、出来るとすれば、俺様を追ってくる事ぐらいしか出来ないよなあ、乙女座。-

そうつぶやきながらヴァンパイア礼士は、ふり向きこそしなかったが、自分が歩く背後から、パステルピンクのジャケットに紺色のロングスカート、深緑の手提げバッグを持った春子。

自分を付けてきている気配を、敏感に察知していた。

時は、十二月二十四日、午後七時。辺りはすっかり暗くなっていた。

春子に後をつけられているそのままに、しばらくの間、道路脇の歩道を歩いていたヴァンパイア礼士。

だが突然、意を決したかの様に、ある行動に出た!
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