♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
「…お客さん、どちらまで?」

「○×通りの△□まで…」

-あっ!ヴァンパイア礼士の奴、タクシーを拾ったわね!

もしかして、気付かれた!?

なら私も!-





「…どちらまで?」

「前のタクシー、追って下さい!」

-何か、刑事ドラマみたいなセリフね。

ふふっ♪-

少しワクワクしながら、タクシーの運転手に、ヴァンパイア礼士の乗り込んだタクシーを追わせた春子。

そして、その春子を乗せたタクシーを、遠目で見守る一人の人物。

その人物は、ふっ、とほくそ笑みながらこうつぶやいた。

-まだまだだな、乙女座。俺様がタクシーに乗り込んだ後、適当に車を流してもらう様に金をつかませて、その後そのまま向かい座席の方からすぐ出て行った事に気付きもしないとは。

消失トリックを学んだ所だと言うのに、このざまとは…

だが、そんなトリックに簡単に引っかかってしまうあたりが、妙に可愛いとも思えてしまうがね。

さてと、邪魔者がいなくなった所で、俺様は真の目的地へと急ぐ事にしよう。-
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