♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
ヴァンパイア礼士は、秋野修二と安華江のいる公園に植えられている、すっかり葉も散った木々の間から二人の様子を遠くからのぞき見していたのだが、同じくその木々の間から、かなり二人に接近する形で二人の様子をのぞき見していた人物がもう一人いた。

遠山恵美子である。

ラフにカールさせた赤いショートヘアに、青紫色のアイシャドーと口紅。

クレセント型の金のピアス、服装はゴスロリ、赤いハイヒールと、夜遅くに道端では出会いたくない痛い人と思わせる様な格好をしながら、寒さに身体をふるわせながらも、二人の様子をじっと見つめていた。

-俺様は、夜でも遠目が利くし、読唇術(唇の動きで、相手の話している内容を理解する技術)があるから、出来るだけセーフティーな場所から相手を見張れるが、ご苦労なこった。

あんな近くでばれない様に二人の様子を見張ってるなんて。

しかもあの寒そうな服装に、アンマッチに手に握りしめられている使い捨てカイロ。

夜の公園に、絶対いて欲しくないよなこんな奴(--;)

そして、俺様は俺様で、観察するには絶対に三人にはバレないポジションではあるが、本当は、もう少し静かな場所に陣取りたかった(-_-)-

ちらっと、後ろを振り返ってみたヴァンパイア礼士。

だが直ぐに前をむき直し、両人差し指を耳栓代わりに、三人の様子を再びうかがい始めた。
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