♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
どれもこれも、俺の事を良く知ってくれている人にしか、作れない料理ばかり。

…小さい時から、不自由な事は無かった代わりに、家庭的な料理…

忙しい両親が、俺だけに、俺の好みの料理を作ってくれた記憶はなかった…

いつか君に話したその内容、ずっと気にかけてくれていたんだね。

君は俺に、ずっと私を支えてくれてありがとう、って言ってくれたけれど、君もまた、俺の事をずっと側で見つめていてくれたんだね。」

「家庭的な味を知らない修二君の気持ちを、全て理解する事はできないかもしれない。

でも、家庭的な味を知っている私がそれを、教えてあげる事だけは私にも出来る…」

「クリスマスプレゼント…もらいにいっても、良いかい?」

「うん…」

修二は、何時しか華江の事をしっかりと抱き締めていた。

華江は、修二の胸の中で、静かに泣いていた。

「うんうん、これにて一件落着!

では、お邪魔虫は、このままフェードアウトするのだ。」

幸せそうな二人を確認して、春子は公園から立ち去っていった。

-一件落着…ねえ。

だが、そうは行かないようだぜ、乙女座!-

そうつぶやくとヴァンパイア礼士は、ポケットから携帯電話を取り出した。




「…ん?はいはい、何の用、ヴァンパイア礼士。

えっ!?後ろを振り返らず、俺の言う通りに動け、つけられている…ですって!?

…一体、どういう意味…」
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