♀乙女座と吸血奇術師♂② ~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア②~
そう言った瞬間、春子はドキッ、とした。

-カツン、カツン。-

自分の後ろから、誰かの足音が聞こえてきた。

静かな住宅街の夜道に響き渡る、ハイヒール音。

「…現場で、二人の事見張ってたんだよ。

遠山恵美子は!」

「えっ?えっえっええっ!?」

自然に歩く速度が早くなる、春子。

それにあわせるかの様に、早くなるハイヒール音。

-私の計画を邪魔しやがって!

何故私の計画を知っていたんだあの女は!

…家をつきとめて、それから…-

ギラギラした目つきで、春子の後ろ姿をじっと凝視しながら春子の後をつける恵美子。

「ど、ど、どうしよ~っ!」

「ど、どうしよ~ったって、お前…

すでに狙われている状態では、流石に俺様でも…」

「何とかしてよ!アンタ悪魔の頭脳の持ち主、吸血奇術師でしょ!?」

-む、無茶苦茶言うなよ乙女座!

全く、元々大人しくターキーとクリスマスプレゼントに囲まれてりゃ、こんな面倒無かったんじゃねーか…




…!?-

ヴァンパイア礼士は突然、はっとして後ろを振り返った。

(あ、ああ~ん!いいのぉ~っ!)

(ハアハア、ど、どうだい○○ちゃん…)

(あっちもこっちも、お楽しみね。

お外でも、みんなでヤれば、怖くない、ってね。)

ヴァンパイア礼士はふと、自分が今いる場所が、『騒がしい』場所である事を思い出した。

そして、頭の中に、ある閃きが起こった。
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